【形成外科について】

 形成外科とは、先天的あるいは後天的な身体外表の形状・色の変化、すなわち醜状を対象とし、これを外科手技によって、機能はもとより形態解剖学的に正常(美形)にし、外見と機能の回復をはかる外科です。広い意味で外科学に属する分野ですが、特に、なんらかの原因で失われた組織や臓器を「造る外科(再建外科)」としてほかの外科と異なる特徴があります。これにより、精神的なハンディキャップの軽減も含め、「患者様の社会復帰」と患者さんの「生活の質 (quality of life:QOL)の向上」を目指しています。
 当院では皮膚腫瘍、眼瞼下垂症、リンパ浮腫、きずときずあと(肥厚性瘢痕、瘢痕拘縮、ケロイド)、外傷、熱傷、難治性潰瘍など、幅広い領域の治療を行っています。

 形成外科の歴史は古く、紀元前6~7世紀のインドで鼻削ぎの刑を受けた人に対する造鼻術(インド法)が報告されています。我が国では第1回日本形成外科学会総会が1958年11月に開催され、その後1960年1月に東京大学病院に形成外科診療科が設立され、現在半世紀を経過した若々しい外科学分野です。形成外科は良くも悪くも「若い」診療科です。診療指針やガイドラインが整備されていない対象疾患が比較的多くありますが、このことは日々新しい診療概念が開発されていることを意味しています。形成外科の学会では、毎回数多くの新しい治療法(手術法や再生医学的治療法など)が報告されており、自由闊達な討論が行われています。

【主な診療内容】

■皮膚腫瘍、皮膚悪性腫瘍、腫瘍切除後の組織欠損
粉瘤や神経鞘腫など様々なできものの治療を行っております。まずはご相談ください。

■リンパ浮腫
リンパ浮腫はリンパ液のうっ滞により上肢や下肢に浮腫が生じる病気です。婦人科癌や乳癌治療後の続発性リンパ浮腫や原因が分からない特発性リンパ浮腫があ ります。放置するとむくみだけでなく、蜂窩織炎などの感染症も生じます。当科では、日帰りでリンパ管と細静脈を顕微鏡下で吻合する管細静脈吻合術 (Lymphatico-venular anastomosis:LVA)を行っております。77倍まで拡大可能な手術用顕微鏡を用いて手術を行います。

■眼瞼下垂症
先天性・後天性の二種類があります。眼瞼下垂の診断が付けば保険適応の手術になります。

■きずときずあと
形成外科は傷の専門家と言われます。耳が裂けたような外傷から擦り傷など体表のきずはご相談ください。内容によっては保険診療ではなく自由診療になります。

■難治性潰瘍
治りにくい傷の治療は形成外科にご相談ください。形成外科であれば軟膏による保存的治療から手術による外科的治療のすべての選択肢をカバーして行えます。